なんとなく完成しないデザインを脱する

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デザイナーとして働き始め、世の中にリリースできるレベルのデザインが作れるようになった頃、依頼主(僕の場合は企画やディレクター)の意図を汲み取ったものを作れず苦しんだ時期がある。いつまでも修正が続いて、なんとなく完成しないデザイン。そんな泥沼から抜け出したポイントを振り返ってみる。

ただ作るだけでは完成しない

とりあえず手を動かし、先輩も巻き込んでデザインツールの前であーでもないこーでもないやっていたらなんとなく形になり…みたいな流れが多かった。そこに、依頼主からフワッとした修正依頼が来たりする。「ちょっと別の感じも見てみたい」と。凍りつく面々。

何だか、自分も含めて作っているデザインが「素人の思いつきの範疇」を超えられていない気がした。絵的には綺麗に出来上がっていても、理由が希薄なのでコロッと変更される。もっと納得感のある提案をデザイナー側からしていかなくては…。

事前の情報収集が役に立つ

まずは、同業他社がどのようなものを作っているのかをリサーチしてデザイン提案にまぜるようにした。「なるほど、多くがログインボタンに緑を使っているなら納得だ」みたいに決断が早くなった。ただ、これだと他社に引きづられてオリジナリティの欠落や劣化コピーを作ってしまう恐れもある。そこで、情報収集の幅を広げた。

例えば「宝箱」のグラフィックを作る場合、検索して200種類ほどピックアップすれば、どのようなディテールが「宝箱」らしさを伝えているのかを理解できる。箱やフレームの色、向き、比率、鍵穴が見えた方がいいなど。あるべきディテールを根本から考えるので、提案にも説得力が出るし猿真似に陥らないで済む。

低品質でリリースしない

気をつけたいのは、情報収集でヒントが増えても自分のデザイン力が上がるわけではないということ。パッと見で惹きつけられるデザインを作る能力は別途鍛えていく。特に、長い時間見ている自分のデザインには愛着でバイアスがかかるので、時間をおいたり別のデバイスで見たりして客観的に確認。

最低限、ユーザーに高品質なものを届けることは死守する。

まとめ

そんなこんなで「このデザイナーは細かいところまでリサーチして設計しているし仕上がりも妥協しないから任せても大丈夫だ」という風向きに変わり「なんとなく完成しないデザイン」から抜け出すことができた。情報収集を行い設計の裏付けを作っているうちに信頼されてリテイクが減ったように思う。

僕はどちらかと言えば直感で判断することが多いので、論理的な資料作りなんて向いていないと思っていたけれど、情報収集を行うことで知見が増え直感も養われたので結果的には良かった。